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Rugs by Enzo


素材をアップサイクルしてラグを作る過程を教えていただけますか?
文化服装学院のテキスタイル科を卒業後、私は山梨県の織物工場でアルバイトとして働き始めました。日々、織機で様々な生地に触れながらも、目の前で大量に廃棄されていく布地を見て、何か解決策はないかと考えるようになりました。そこから辿り着いたのが、日本に古くから伝わる「裂織(さきおり)」という伝統技法です。

裂織は、江戸時代から続く技術で、傷んだ布や不要になった布を再利用して新たな織物を生み出す方法です。まず、古くなった衣服や布地をハサミで細長い紐状に裁断し、それを緯糸として使います。そして、織り手が選び抜いた木綿や麻の経糸に、これらの再利用された緯糸を丁寧に織り込んでいきます。糸は、その仕上がりに柔らかさや強さを与えるため、慎重に選ばれます。 裂織の魅力は、そのプロセスそのものにあります。新しい命を吹き込むかのように、かつて不要となった素材が、織り手の手によって美しい模様や風合いに生まれ変わります。それは単なるアップサイクルではなく、時を超えて受け継がれた技術と、素材への深い敬意が込められた作業です。裂織を通して、私は素材に新たな価値を見出し、持続可能な未来への小さな一歩を踏み出しています。

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ラグを作るときに目指す美学はありますか?
ラグを作り始めたのは、役目を終えた生地を使ってまた服を作ることに違和感を感じたからです。ファッションのサイクルの中で消費されていく布を、ただ再び衣服にするのではなく、人々の暮らしに直接寄り添うものに変えたいと思いました。布がファッションアイテムではなく、生活そのものの一部になることで、私たちはその布とより深い接点を持ち、布そのものの本来の役割や価値を感じられるのではないかと考えたのです。 特にラグというアイテムは、日常的に触れ合う機会が多く、布としての質感や風合いがより直接的に感じられます。そのため、デザインの際には色の組み合わせにも細心の注意を払っています。今回のNOAHのTシャツのプロジェクトでは、同じ色調の中にも微妙な差異や複数の色味が含まれているため、それらのバランスに特に気を配り、調和を意識しました。 このように、生地が持つポテンシャルを最大限に引き出し、生活の中でその価値を再発見してもらえるようなプロダクトを目指しています。それは単なる再利用ではなく、布との新たな関係性を生み出す試みでもあります。

NOAHの衣服の品質は、ラグの特性にどのように生かされているのでしょうか?
元の素材が上質であるため、生地をカットするときにハサミが滑らかに入り、ラグに仕上げた際も全体が美しくまとまります。正直、他と比べるべきではないと思いつつも、最近はNOAHのラグ制作に集中していて、他の生地をほとんど触っていません。そのため、改めて他の素材に触れたときに、NOAHの生地の素晴らしさを再確認することがあるかもしれません。 NOAHの生地には独特の風合いとしっかりした手触りがあり、それがラグに変わったときにもその質感が際立つのです。制作の過程で素材と対話し、織り上げていくたびに、その上質さが織物全体に一体感をもたらしていることを感じます。これは、ただのラグではなく、素材が持つ本来の美しさや強さが存分に発揮された作品だと思います。

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この特別なラグを作るためにNOAHの洋服を使ってみてどうでしたか?
世界的なブランドであるNOAHからオファーを受けたときは、正直とても嬉しかったです。最初はブランドについてそこまで深く知っていなかったのですが、NOAHで働いている友人を通じてブランドを理解するようになり、その哲学に惹かれてどんどん好きになっていきました。 驚いたのは、もう売れなくなってしまったTシャツがこんなにもたくさんあること。それでも、それらが倉庫で眠っているだけではなく、誰かの日常生活の一部として息を吹き返すことで、製品としての価値を再発見できることに、非常にやりがいを感じました。NOAHの「Not Dead Yet!(ノット・デッド・イエット!)」プログラムは、私自身の哲学と完全に一致しており、自然に取り組むことができました。 使い捨てではなく、時間と共に味わいを深めていくものを作り上げること。そして、ファッションだけにとどまらず、生活の一部として愛されるプロダクトを創り出す。この考え方は、NOAHとのコラボレーションを通じてさらに強く実感しています。

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アトリエではどんな音楽を聴いていますか?
今では作業中にいつもレゲエをかけているんです。10代の頃から聴き慣れてきた音楽だから、自然と自分のリズムに合っているんでしょうね。いろんなジャンルの音楽を楽しむんですが、気がつけば、いつもレゲエに戻ってきてしまうんです。まるで心地よいリズムが自分の一部になっているかのように、無意識に選んでしまう。

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1枚のラグを作るのにどのくらい時間がかかりますか?
だいたい2日に1枚のペースです。Tシャツを裁断するところから、織り機に糸をセットして、織り上がったものを後加工するところまで、1日10時間くらいかけています。

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デザインのインスピレーションはどこから得ていますか?
国内外を問わず、さまざまな場所を訪れることで得た経験や感覚を大切にしています。その土地独特の街並みや建築物のデザイン、不規則に並んだ模様やパターン、そういった視覚的なインプットの時間は私にとって非常に重要です。そうした要素を頭の中でしっかりと記憶し、じっくりと咀嚼していく。そして、ブランドのイメージやカラーに織り込むようにして、作品へと落とし込んでいきます。 ブランドの持つ独自性と、旅先で得たインスピレーションが交差する瞬間はとても特別です。その融合によって、ただのモノづくりではなく、ブランドの物語を織り上げるような感覚があります。そうしたプロセスを通じて、作品一つひとつがその場所や時間の記憶を運び、プロダクトに新たな命を吹き込んでいるのです。

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素材をアップサイクルしてラグを作る過程を教えていただけますか?
文化服装学院のテキスタイル科を卒業後、私は山梨県の織物工場でアルバイトとして働き始めました。日々、織機で様々な生地に触れながらも、目の前で大量に廃棄されていく布地を見て、何か解決策はないかと考えるようになりました。そこから辿り着いたのが、日本に古くから伝わる「裂織(さきおり)」という伝統技法です。

裂織は、江戸時代から続く技術で、傷んだ布や不要になった布を再利用して新たな織物を生み出す方法です。まず、古くなった衣服や布地をハサミで細長い紐状に裁断し、それを緯糸として使います。そして、織り手が選び抜いた木綿や麻の経糸に、これらの再利用された緯糸を丁寧に織り込んでいきます。糸は、その仕上がりに柔らかさや強さを与えるため、慎重に選ばれます。 裂織の魅力は、そのプロセスそのものにあります。新しい命を吹き込むかのように、かつて不要となった素材が、織り手の手によって美しい模様や風合いに生まれ変わります。それは単なるアップサイクルではなく、時を超えて受け継がれた技術と、素材への深い敬意が込められた作業です。裂織を通して、私は素材に新たな価値を見出し、持続可能な未来への小さな一歩を踏み出しています。

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1枚のラグを作るのにどのくらい時間がかかりますか?
だいたい2日に1枚のペースです。Tシャツを裁断するところから、織り機に糸をセットして、織り上がったものを後加工するところまで、1日10時間くらいかけています。

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ラグを作るときに目指す美学はありますか?
ラグを作り始めたのは、役目を終えた生地を使ってまた服を作ることに違和感を感じたからです。ファッションのサイクルの中で消費されていく布を、ただ再び衣服にするのではなく、人々の暮らしに直接寄り添うものに変えたいと思いました。布がファッションアイテムではなく、生活そのものの一部になることで、私たちはその布とより深い接点を持ち、布そのものの本来の役割や価値を感じられるのではないかと考えたのです。 特にラグというアイテムは、日常的に触れ合う機会が多く、布としての質感や風合いがより直接的に感じられます。そのため、デザインの際には色の組み合わせにも細心の注意を払っています。今回のNOAHのTシャツのプロジェクトでは、同じ色調の中にも微妙な差異や複数の色味が含まれているため、それらのバランスに特に気を配り、調和を意識しました。 このように、生地が持つポテンシャルを最大限に引き出し、生活の中でその価値を再発見してもらえるようなプロダクトを目指しています。それは単なる再利用ではなく、布との新たな関係性を生み出す試みでもあります。

NOAHの衣服の品質は、ラグの特性にどのように生かされているのでしょうか?
元の素材が上質であるため、生地をカットするときにハサミが滑らかに入り、ラグに仕上げた際も全体が美しくまとまります。正直、他と比べるべきではないと思いつつも、最近はNOAHのラグ制作に集中していて、他の生地をほとんど触っていません。そのため、改めて他の素材に触れたときに、NOAHの生地の素晴らしさを再確認することがあるかもしれません。 NOAHの生地には独特の風合いとしっかりした手触りがあり、それがラグに変わったときにもその質感が際立つのです。制作の過程で素材と対話し、織り上げていくたびに、その上質さが織物全体に一体感をもたらしていることを感じます。これは、ただのラグではなく、素材が持つ本来の美しさや強さが存分に発揮された作品だと思います。

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この特別なラグを作るためにNOAHの洋服を使ってみてどうでしたか?
世界的なブランドであるNOAHからオファーを受けたときは、正直とても嬉しかったです。最初はブランドについてそこまで深く知っていなかったのですが、NOAHで働いている友人を通じてブランドを理解するようになり、その哲学に惹かれてどんどん好きになっていきました。 驚いたのは、もう売れなくなってしまったTシャツがこんなにもたくさんあること。それでも、それらが倉庫で眠っているだけではなく、誰かの日常生活の一部として息を吹き返すことで、製品としての価値を再発見できることに、非常にやりがいを感じました。NOAHの「Not Dead Yet!(ノット・デッド・イエット!)」プログラムは、私自身の哲学と完全に一致しており、自然に取り組むことができました。 使い捨てではなく、時間と共に味わいを深めていくものを作り上げること。そして、ファッションだけにとどまらず、生活の一部として愛されるプロダクトを創り出す。この考え方は、NOAHとのコラボレーションを通じてさらに強く実感しています。

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アトリエではどんな音楽を聴いていますか?
今では作業中にいつもレゲエをかけているんです。10代の頃から聴き慣れてきた音楽だから、自然と自分のリズムに合っているんでしょうね。いろんなジャンルの音楽を楽しむんですが、気がつけば、いつもレゲエに戻ってきてしまうんです。まるで心地よいリズムが自分の一部になっているかのように、無意識に選んでしまう。

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