
私たちはこれまで、時代の潮流に合わせて素材やシルエットを変えながら毎シーズンスーツを展開してきました。そしてディレクター・ブレンドンもスーツをこよなく愛するひとりです。「スーツ」と聞くとかっちりとした印象を受けがちですが、彼が着こなすそれはもっと気軽でリラックスしたもの。Tシャツにリネン素材のスーツをさらりと合わせたり、オーバーサイズのトラウザーズをあえて裾上げせず、ロールアップしてスニーカーを合わせたり… ブレンドンにとって、スーツは仕事用のユニフォームではなく、ジーンズやクルーネックのニットと同様に日々のワードローブの一部なのです。今回は、そんな彼が長らく提案し続けている「DIY Suiting」という考え方についてご紹介していきます。
Interview with Brendon
ー過去に2018AW、2021AWシーズンと、NYチームから“DIY Suiting”というタイトルのブログをリリースしていますが、2026年を迎えようとしている今、そのDIY Suitingについての考え方に変化はありますか?
DIY Suitingについての私の意見は、正直あまり変わっていません。仕事のために毎日スーツを着る必要がなくなったり、多くの人にとってスーツそのものが必需品ではなくなっているように感じます。そのおかげで私たちは「いつ、どのようにスーツを着るか」を自由に選べるようになりました。そう考えると、これまでの“ルール”は以前ほど重視されなくなっていると言えるでしょう。スーツをもっと自由に、ユニフォームとしてではなく個人のスタイルとして楽しむことができるようになったのです。その現実こそがDIY Suitingという考え方によりリアリティをもたせる大きな時代の変化です。2018年の段階ですでにその考えには至っていましたが、今ではさらに強く実感しています。
2025秋冬キャンペーンビジュアルより
ーあなたが考える、DIY Suitingを体現している人物を教えてください。
DIY Suitingの考え方に基づくと、スーツを着る必要がないのにも関わらず自らの意思のもと好んでスーツを着ているアーティストやミュージシャンが何名か思い浮かびます。中でも個人的にはブライアン・フェリーが最もスーツを素敵に着こなしていたように感じます。彼はステージに上がる際もプライベートにおいても、スーツやスポーツジャケットを個性的に着こなしていました。ドレスルールを理解した上で、ほんの少し変化を加えて自分らしさを表現していたのです。私がこれまで見た中で、彼の着こなしはDIY Suitingのもっとも素晴らしい実践例だと考えています。
スーツスタイルからジャケパンスタイルまで、日常的にジャケットを好んで着用していたブライアン・フェリー
ー今シーズン展開しているスーツについて、ファブリックやシルエット、ディテールなどこだわりを教えてください。
今季のスーツは、1979〜83年あたりの時代からインスピレーションを得て製作しています。当時は70年代特有のロック・パンクテイストのスーツスタイルから、80年代に主流であったビッグスーツにトレンドが移行する変革期でした。そのため、70年代らしいワイドラペルやダブルブレストといったディテールと、80年代特有の丈が長いボックスシルエットのジャケットやハイウエストのタックパンツが共存していたのです。今シーズンのスーツには、その当時のアンバランスさを積極的に採用しています。生地に関しては、今回はスコットランドとアイルランドを中心に、最高品質の素材を信頼できるミルから仕入れています。
2025秋冬キャンペーンビジュアルより
スーツにはある種の「決まりごと」が存在します。ブレンドンが語るブライアン・フェリーもルールを理解した上で変化を加えていたように、DIY Suitingを実践するにはスーツの基本や最低限のマナーを知るところから始めることが重要です。
Single or Double- シングル or ダブル -
まずおさらいしておきたいのは、シングルブレストとダブルブレストが与える印象の違いについて。シングルブレストは最もスタンダードなジャケットの形で、ビジネスからフォーマルまで幅広いシーンに対応します。主に2ボタンと3ボタンが存在しますが、今季NOAHのシングルジャケット全般にも採用している2ボタンタイプがビジネスシーンでは定番。3ボタンタイプはややカジュアルな印象を与えます。一方、1930〜40年代に誕生したダブルブレストは、シングルブレストよりも格式が高く、フォーマルな場に向いているとされています。ファッションアイテムとしては1980年代にクラシック回帰のキーアイテムとして再流行を果たしました。今季はNOAHでもスコットランド産のウールツイードを使用したダブルブレストのジャケットをご用意しています。
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シングルブレスト(Single-Breasted Wool Jacket) -

ダブルブレスト(Double-Breasted Blazer)
Lapel- ラペル -
続いては、顔周りの印象にも関わる、スーツの顔とも言えるラペル=襟の形状について。一般的に主流とされるのは、最も標準的で幅広いシーンに対応するノッチドラペル、よりフォーマル度が高いピークドラペル、タキシードに見られるショールカラーの3パターン。今季のNOAHのジャケットには基本的にノッチドラペルを採用しており、「Double-Breasted Blazer」のみピークドラペル仕様となっています。
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ノッチドラペル(Single-Breasted Wool Jacket) -

ピークドラペル(Double-Breasted Blazer)
Vent- ベント -
背面のセンターにスリットが入ったタイプは、センターベントと呼ばれるアメリカ式のディテールで、両サイドにスリットが入ったダブルベントは英国由来のものと言われています。センターベントは乗馬の際に着るジャケットがルーツとされており、スポーティかつカジュアルな印象を与えます。一方でダブルベントはブリティッシュスタイルにおいてシルエットを美しく見せるために考えられたディテールでもあり、クラシカルな紳士服らしいドレッシーなムードを演出します。今季はDouble-Breasted Blazerのみダブルベントで、その他のジャケットには共通してシングルベントを採用しています。
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センターベント(Single-Breasted Wool Jacket) -

ダブルベント(Double-Breasted Blazer)
Sports Coat- スポーツコート -
NOAHでは今季、スーツやブレザーに加えて「スポーツコート」と呼ばれる変わり種のジャケットも展開しています。スポーツコートは、乗馬や狩猟をする際に着用するタフで機能的なジャケットとして19世紀頃にイギリスで誕生しました。ツイードをはじめとする様々な素材のバリエーションや裏地の配色、パターン、ディテールが自由な発想によって組み込まれており、幅広いボトムスとの合わせを楽しむことができるため、DIY Suitingの考え方に基づいたジャケパンスタイルに最も適したアイテムです。この秋冬シーズン展開しているスポーツジャケットにはスコットランド製のハリスツイードを使用しつつ、エルボーパッチと裏地のペイズリー柄で遊びを加えることでクラシカルでありながら軽やかな印象に仕上げています。
Scottish Tweed Sport Coat
Manner- マナー -
スーツには暗黙のルール、つまりマナーのようなものが存在します。特にフィッティングには注意が必要で、ジャケットのサイズは肩が合っていることが絶対条件。着丈はヒップが半分くらい隠れる長さが理想と言われています。袖丈はシャツが1〜1.5cmほど見えるくらいが良しとされ、他にもベルトと靴のカラーは揃える、ジャケットの一番下のボタンは閉じないなど細かな決まりごとがあるのです。もちろんフォーマルな場や大事なビジネスチャンスの際など、マナーを守るべきシーンは現代にも存在しますが、DIY Suitingの考え方においてはこれらの決まりごとを理解した上で取捨選択を行い、自らのスタイルで着こなしていくことが重要です。
DIY Suiting by NOAH Staff
では実際にNOAHで働くスタッフはどのようにスーツを日常に取り入れているのか。
クラブハウス、ヌードルショップのスタッフが実践するDIY Suitingをご紹介します。
Single-Breasted Chalk Stripe Wool Jacket ¥198,000_BUY
Oxford Shirt ¥27,500_BUY
Flat Front Chalk Stripe Wool Trouser ¥99,000_BUY
Left
Double-Breasted Blazer ¥198,000_BUY
Classic Rugby ¥36,300_BUY
Drawstring Sweatpant ¥30,800_BUY
Shetland 5-Panel ¥14,300_BUY
Right
Wool Herringbone Sack Jacket ¥209,000_BUY
Double-Pleat Wool Herringbone Trousers ¥99,000_BUY
Button-Tab Rugby ¥36,300_BUY
Oxford Shirt ¥27,500_BUY
Single-Breasted Wool Jacket ¥198,000_BUY
Oxford Shirt ¥27,500_BUY
Flat Front Wool Trouser ¥99,000_BUY
Left
Single-Breasted Wool Jacket ¥198,000_BUY
Oxford Shirt ¥27,500_BUY
Flat Front Wool Trouser ¥99,000_BUY
Right
Single-Breasted Chalk Stripe Wool Jacket ¥198,000_BUY
Denim Shirt ¥44,000_BUY
Flat Front Chalk Stripe Wool Trouser ¥99,000_BUY
Scottish Tweed Sport Coat ¥187,000_BUY
Too Much Tee ¥12,100_BUY
Stovepipe Jeans ¥39,600_BUY
Waffle Beanie ¥8,250_BUY
Watch for DIY Suiting
Noah x Timex Lighthouse Watch
腕元から個性を表現できるウォッチ選びもDIY Suitingの醍醐味。美しい曲線美のオーバルフォルムとミニマムなケースサイズによりモダニズムとクラシックを両立させた「Lighthouse Watch」は、トラディショナルなスーツによく馴染み、それでいて洗練された印象を与えます。



















